小説紹介① 折れた竜骨/米澤穂信

小説紹介① 折れた竜骨/米澤穂信

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1.全体感

小市民シリーズでお馴染みの穂信先生の異色作品。舞台は12世紀末の欧州と現実世界ではあるものの、そこには”魔術”が存在しています。

推理小説に魔術もってきたらあかんやろノックス激おこ案件やぞ……と思う人も多いとは思うが、「特殊設定ミステリ」として確立したジャンルですね。

そんなんなんでもありだろと思わせないようなロジックをもってして読者を満足させるには作者の技量がかなり問われることになりますが、この作品はそのハードルを越えてきました。

あ、犯人はもちろん書かないけど、劇中の出来事などは若干のネタバレありでございます。

あらすじをザックリと述べると、ソロン島の立派な領主がいて、その人は絶海の孤島”小ソロン島”に住んでいて、そこに行くには15時までに島唯一の渡し守に頼まなければならないという状況。

そんで領主が殺されて、その日館にいた人から犯人を見つけ出すというお話。

探偵役はフィッツジョンという騎士とその従者ニコル。視点は領主の娘。

館にいた容疑者は、死んだ領主が集めた傭兵で、なんで傭兵を集めたかというと、領主がどこからか「呪われたデーン人」が攻めてくるという情報を得ていたから。

しかも犯人は魔術師に操られて殺したという事実を自分で全く認知していない、さあどうする!――というお話。

2.てんぐのお気に入りポイント

やっぱり月並みだけど、今までバラバラに散りばめられていた情報たちが、実は問題解決にこう繋がっていましたっていうのがわかるシーン、つまりは解決編が爽快でしたね。

呪われたデーン人なんて、ファンタジー色を出すためのものかと思ったらガッツリ本筋にかかわってくるし、傭兵の職業や、種族の戒律などが、実はこうこうこういう風に関係していた――っていうのは、あああの文書はそのために書いていたのか!というアハ体験に繋がります。

なんやこの酒場に急襲してきた女は!!と思ったシーンでは、正体が気になって最後のほうのページを捲りかけましたが笑

ファンタジックな情景と港町の潮の香りがするような描写もいい風味を出していて、ページを捲るのが快感でした。

キャラクターもよいですね。

強い女傭兵や兄弟の弓兵、巨大なゴーレム使い、遍歴騎士……それぞれ個性が強烈で、「このキャラなんだっけ」とは一度もなりませんでした。

あとはタイトルの回収がお洒落でした!!

3.おわりに

やっぱミステリっていいですよねー。

脳みそにいい刺激がいきますし、ノってくるとページを捲る手が止まらずに「やばいやばい」と呟きながら何者かに操られているような状態に陥るのがたまりません。

次は積読している綾辻行人の「時計館の殺人」を読みたいと思います。

あと最近イチオシの漫画もあるんで、それも紹介したいですねえ。

裏バイトっていうんすけど。

ではまた次回。